ペット栄養管理士ブログ

ペット栄養学会誌より

2015/10/18

ペット栄養学会誌 第18巻 第2号が送付されてきました。
その中にうれしい記事が記載されていました。
アルマ動物病院の天達有紀先生が投稿された「犬の食事についての私の考え」です。
今回はこの記事を紹介させていただきます。

ドックフードは一般的に知られている通り、経済的かつとても便利性のある総合栄養食です。
ただ、本当にずっとドッグフードだけ食べさせていれば良いのか?他にも何かあげた方がいいのではないか?など、臨床獣医師として働き始めてから1年半の間、オーナーからこの様な犬の食事に関する素朴な質問を何件も受けてきました。
そこで当院で学んだこと、オーナーとのやりとりで感じたことを、犬の食事という面からお話しさせて頂きます。

手作り食への推奨
低価格で容量の多いドッグフードは、オーナーから見れば魅力的に感じるかもしれません。
また、ドッグフードは準備が容易で手間がかからない、栄養バランスが計算されている、長期間の保存が可能、などのメリットがあります。
しかし、経済的なフードであればあるほど、着色料や酸化防止剤、防腐剤、などの添加物がたくさん使われている傾向にあります。
その中には、多量に摂取すれば犬に有害な影響を及ばす危険な物質も含まれていることもあるようですが、日本の法律では添加物に対する規制がほとんどなく、そのような物質を含んでいるドッグフードも一般市場に出ているのが現状です。
更に、このドライフードが外国産である場合、陸路、空路に関係なく、長い時間をかけて日本に輸入されていると考えられます。
かつ、輸送中の温度管理が適切に実施されていない場合、コンテナの中は蒸されてサウナ状態になっていると思われ、ドライフードの劣化・酸化は避けられません。
また、温度管理がなされていた場合だとしても、製造元の場所でいくら質の良い栄養素などを多量に入れていても、ドライフードの酸化を防ぐ事は難しいでしょう。
酸化したドライフードは犬の涙やけ、体臭、毛艶に大きく影響を及ぼすことがあります。
更には酸化した油脂が体に合わないケースもあり、それが下痢などを引き起こして犬の体調自体に影響を与えることもあるようです。
“自分たちは色々なものを自由に食べているけど、犬はドッグフードなど決まったものしか食べられなくて可哀想”、“できればドッグフード以外のものをあげたいけど、何をあげたら良いのかわからない”など、お話を聞いていると、もともと手作り食へ興味を持たれている方も多く見受けられます。
これらの点を踏まえ、まずオーナーから犬の食事をどうしていけば良いか質問をされた場合、私はドライフードから手作り食への変更を推奨しています。

国産フードへの推奨
犬の食事について相談を受けた際、手作り食への移行をできるだけお勧めはしていますが、現実的に考えて難しい、とオーナーから言われることがあります。
用意するための時間が上手くとれない、ドッグフードよりもコストパフォーマンスに劣る、などのデメリットが挙げられますが、このような場合には手作り食への完全移行ではなく、ドライフードと混ぜながらではどうか、と提案をしています。
その際、ドライフードは外国産のものをあげていれば、上述の理由から国産のドライフードを選んでいただくようにお話をしています。  略  最近では、有害な添加物を気にするオーナーも増え、オーガニックブームが到来していることも相乗して、犬にもなるべく自然のものをあげたい、ということで無添加のドライフードを選ぶ方も見られます。
ですが、無添加のドライフードを選んでいる方のお話を聞くと、多くの方は外国産のドライフードを選んでいただいているようです。ただ、無添加の高級外国産のドライフードと言えど、長い輸送の期間を経て売り場に並べられているのですから、やはり国産フードを手に取っていただくことをお勧めしています。

 

以上が天達有紀先生の投稿文です。
私も全く同じ意見です。
本来、犬にとってドライフードではなく手作り食が自然ではありますが、生活環境を考慮した場合、犬にバランスのとれた食事を与え続けることは、ほぼ不可能に近いと思われます。
天達有紀先生の文に一言つけ加えさせていただくならば、同じ国産のドライフードであっても、「エクストルーダー」で製造された物ではなく、「ペレッター」で製造された物を選んで欲しいということです。
どうやって見分けるか、それはフードの粒が不揃であり、臭いを嗅いでみて人工的なニオイがしなければ「ペレッター」で製造されていると考えていいと思います。
“なぜ外国製の製品が犬の身体に悪いのか”は、2014/12/08配信の“海を渡ってやってくるドッグフード”でも紹介しています。
これは、私が実際、アメリカ製のドッグフードの輸入総代理店での実態を見て疑問を抱き、その結果、国産の質の高いフードを作りたいと思った引き金になったことです。

大切な家族の一員である愛犬の健康の第一歩は、まず食事からです。