ペット栄養管理士ブログ

犬の繁殖回数制限へ

2015/10/28

10月24日、環境省は子犬をペットとして販売するブリーダーに対し、親犬への過度な負担を避けるため、年間の繁殖回数を制限する方向で調整に入ったという記事を目にしました。
やっときたかと嬉しい衝撃と果たしてその内容は?どこまで強制力がつくのか?などこれからの先行きを見つめなければと思いました。
動物愛護後進国の我が国日本、ブリーダーやペットショップをめぐっては、狭いケージで沢山の動物を飼育するなど悪質な業者が後を絶ちません。
この背景には、日本における法規制の緩さが一因しているものと思われます。
悪徳業者が摘発されたとしても殆どが書類送検だけです。
その陰には多くの犬たちの苦しみやはたまた沢山の命が消え去っています。
死ぬまで一生機械のごとく子犬を生み続ける犬や犬種によっては正常分娩ができないものは帝王切開をこれ以上できないところまでやって、後は餌代がかかるので山中に捨てるブリーダーなど、犬を生き物としてではなく商売の道具にしか見ていないブリーダーが後を絶ちません。
昨年の3月にスタッフ犬になったフレンチブルのココもブリーダーの放置犬です。
フレンチブルドッグの平均体重は10㎏~13㎏ですが、保護されたときのココの体重は5㎏しかありませんでした。
狭いケージに入れられっぱなしだったのか、後ろ脚の関節に障害があり、あまり筋肉がついていません。
多くの子犬たちからたて続けに吸われた乳首は、ココが座ると今にも地面に着きそうなくらい伸びています。
こんな状態のココですが、ココをお世話してくださったボランティアの方によると、まだいい方だとのことです。
散歩中に繁殖用の放置犬と出会うことがありますが、雄雌に関係なくどの犬もみな生気がありません。
彼ら彼女らは狭いケージから解放され、充分な食事・散歩そして愛情を受け、やっと犬としての幸せをつかみ余生を送っています。
9月18日に配信した“ドイツの犬事情”を是非読んでみてください。
そして、もう一つの動物愛護国イギリスの繁殖法規について少し述べたいと思います。

・年間5匹以上の動物を出産するブリーダー、および頭数にかかわらず動物を売ることを生業としてい
  るブリーダーは、所属する地域の管理局から免許を所得すること。
・繁殖・取引の正確な記録を保管すること。
・12ヶ月に満たない雌に出産させないこと。
・犬は生涯6回までしか出産させてはならないこと。
・一度出産すると、12ヶ月経たないと次の出産はしてはならないこと。

イギリスのブリーダーが免許制であるのに対し、日本では登録制となっています。
その結果、動物取扱業の申請書を提出し、都道府県知事や政令市長の登録を受けさえすれば、誰でも比較的簡単にブリーダーになれてしまいます。
こうした法規制の緩さが一部の悪徳業者の横行を許していると言えると思います。
このブログを読んでくださった方々の回りに、“犬を飼いたい”とおっしゃっている方がいらっしゃるなら、是非希望子犬の母親の環境を一度ご覧になってからお決めになられるようお勧めください。