ペット栄養管理士ブログ

免疫の主役は白血球

2015/11/08

今回の免疫のお話は、白血球の中の自然免疫で、単球のマクロファージと樹状細胞にスポットを当ててみたいと思います。
自然免疫とは、私たちが生まれた時から持っている免疫で、一番最初の防衛ステージです。
白血球の約5%を構成しているマクロファージですが、マクロは大きい、ファージは食べるという意味で、大食いの食いしん坊細胞です。
貪食能力と呼ぶ何でも貪欲に食べてしまう働きを持っています。
大部分のマクロファージは、絶えず肺や肝臓、脾臓といった全身の組織に出て待ちかまえ、最低限の侵入者の選別をして、ちょっとでも怪しいとなると無差別に何でも食べてしまいます。
毎日3000億個もの死んだ赤血球を食べ、機能をなくした細胞やその破片も片付ける、言わば体の掃除屋です。敵を片っ端から飲み込み、消化・殺菌することで闘います。
自然免疫の働きは相手を選ばず、すべての侵入者に対して同じように働き、同じ敵が繰り返し侵入してもその効果に変化はありません。
生まれた時から体に自然に備わっている抵抗力といえます。

マクロファージのトラップ細菌を捕らえたマクロファージ

 

 

 

 

 

 

 

 

   マクロファージのトラップ          最近を捕らえたマクロファージ

敵が体内に侵入し、マクロファージが自分で処理できない場合は、その敵に応じて異なったサイトカインと呼ばれる生理活性物質を出します。
サイトカインはマクロファージと免疫仲間の情報伝達物質です。
仲間を誘い出し応援を求めます。また、マクロファージは噛みちぎった敵のかけらをリンパ球の仲間であるヘルパーT細胞に提示して敵の情報を示します。
細菌やウイルスなど体の中へ侵入してくる敵のことを専門用語で抗原といいますが、敵の情報を示す役割があるので、マクロファージのことを抗原提示細胞ともいいます。

マクロファージと同じように抗原提示機能を持つもう一つの単球である樹状細胞は、名が示すとおりの突起を四方八方に突出しており、抗原提示の専門家で敵と積極的に闘うことはしませんが、仲間の免疫細胞に10倍以上も情報を伝達し、免疫を強化するといわれており、生体防御にとって極めて重要な細胞です。
発見されてからまだまだ歴史が浅い樹状細胞ですが、この樹状細胞が暴走すると自己免疫疾患を招くことが分かっています。

樹状細胞

 

樹状細胞は、TVドラマでいう「家政婦は見た」の家政婦役でしょうか?
きちんと正しい情報が伝達されなければ、敵に勝利することは難しくなります。
そして大切なことは、それぞれの白血球たちが、上手く連結プレーができることです。

 

 


電子顕微鏡のおかげで、普通の顕微鏡では目にすることができなかった物を目にすることができるようになり、ますます神秘の世界に足を踏み入れることができるようになりました。有難いことですね。

写真提供:自宅で学ぶ高校生物、日経サイエンスより