ペット栄養管理士ブログ

免疫の担い手 リンパ球 T細胞

2015/11/28

免疫細胞の中でもリンパ球は特殊精鋭戦隊です。
マクロファージ、顆粒球がパトロール隊とすると、リンパ球は特殊部隊です。
一度攻撃した敵を記憶し、2度目は素早く対処できる抗原抗体反応をもつ最強のエースです。
マクロファージ、顆粒球が自然免疫と呼ばれるのに対し、リンパ球は獲得免疫と呼ばれます。
獲得免疫とは、自然免疫をくぐり抜けて侵入してきた特定の敵に対して、攻撃の早さと強さを獲得して集中攻撃を仕掛ける免疫のことです。
生まれたときには備わっていません。後天的に獲得される免疫です。
白血球の約35%占めるリンパ球ですが、リンパ球の仲間には、T細胞、B細胞、NK細胞があります。(※NK細胞は自然免疫です。)


リンパ管

 

 

 

 

 

血管内には、赤血球、血小板、白血球も流れている。血流にのって白血球は、全身をパトロールしている。白血球の中のリンパ球は血管壁から染み出してリンパ管に流れ込み、全身にくまなくはりめぐらされたリンパ管の中を流れ、細菌やウイルスといった敵を片付けて再び血管に戻る。

 

T細胞
T細胞は血液中のリンパ球の70%~80%を占め、骨髄で生まれた未熟な細胞が胸腺で特別に養成された細胞です。胸腺は、容赦なく特訓をして教育をする学校のようなもので、胸腺の中で成熟したリンパ球は「自己」と「非自己」、つまり味方と敵を見極める認識能力や戦闘能力をもった優秀なT細胞として卒業していきます。
T細胞はさらにヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレッサーT細胞の3つに大きく分けられます。

ヘルパーT細胞
戦闘開始をする免疫本部の司令官です。
ヘルパーT細胞が侵入者の正体を突き止め、戦略にそって指令を出さない限り、戦闘部隊は一歩も前に進みません。
ヘルパーT細胞は、マクロファージや樹状細胞、B細胞の持ってきた侵入者の情報(抗原提示)をベースに自分のアンテナを使って攻撃すべき敵なのかどうかを判断します。
侵入者が闘うべき敵だと分かると、攻撃のために自分自身が増殖をはじめ数を増やし、他の免疫細胞たちに戦闘態勢に入る合図を出すサイトカインと呼ばれる情報伝達物質をつくります。
ヘルパーT細胞は、マクロファージや樹状細胞が自分の体(タンパク質)と侵入者の体の一部を結合してさせて作り上げられた情報でしかアンテナには受信できません。
たとえ侵入者がヘルパーT細胞の近くを通っても侵入者であると認識できません。

キラーT細胞
ヘルパーT細胞からの指令(サイトカイン)なくしては動けないキラーT細胞ですが、受け取るや否や倒すべき侵入者を探しに出動します。
「細胞の殺し屋」と名付けられたキラーT細胞は、敵によって乗っ取られてしまった細胞(ウイルスに感染した細胞やガン細胞)が相手で、ウイルスそのものは殺せません。
キラーT細胞のアンテナは敵か味方かを認識し、敵に乗っ取られた細胞を認識し、中に潜んでいる敵もろとも破壊してしまいます。
キラーT細胞の殺す相手は決まっているため、それ以外の敵には見向きもしません。
1種類の敵に行動を起こすのは決められたキラーT細胞だけです。
キラーT細胞は、自分の担当する敵と認めるや否や分裂、増殖を始め、沢山のクローン兵をつくり、大部隊を編成します。
感染を阻止する役目を果たし終えると、キラーT細胞は敵の特徴を記憶して生き残る一部の仲間を残して死んでいき、次に同じ敵が攻撃を仕掛けてきたとき素早く行動ができるように準備をしています。

サプレッサーT細胞
敵すべて倒した時に攻撃終了を告げる役割をしています。
サプレッサーT細胞が終了を告げないと、免疫細胞はいつまでも闘いを続けます。
最後には自分の体を攻撃してしまいかねない有害な免疫細胞の働きを抑える役割です。
ヘルパーT細胞の指令を打消し、免疫反応を抑制し、自己免疫疾患を防いでいます。

※抗原と抗体(抗原=敵 抗体=武器)
抗原が体内に侵入するとリンパ球の働きにより、その抗原とだけ反応する物質(タンパク質)を作り出します。
誰もが体の中に侵入してきた細菌やウイルスといった異物である敵に対して、全く同じ反応を示すとは限りません。同じ抗原でも敵となるものとならないものもあります。
抗原とその実態を認識して、破壊するために作られる抗体は、鍵と鍵穴に例えられるよう1対1の関係です。

※サイトカイン
白血球は、免疫細胞同士の互いの働きにより活性化するコミュニケーションを図るためにサイトカインと呼ばれるさまざまな種類の情報伝達物質を出しており、それは微量のタンパク質でできた生理活性物質です。
サイトカインの情報の種類は、敵を学習し認識する働き、攻撃を終了して次の敵に備える働きに大きく分けられます。
マクロファージは、顆粒球、リンパ球はもちろん、体全体にサイトカインを放出し活性化させます。また、ヘルパーT細胞は自分が命令する免疫細胞を活性化させています。
免疫系以外にも神経系などにも働きかけます。

免疫細胞の種類